僕とオートバイ

僕がオートバイを意識し始めたのは保育園の頃だったと思う。
天気のいい初夏だった。父親の後ろに乗せてもらい近所を走った。
最初は怖くてしがみついていたが､慣れてくるうちに
心地良い振動と、体全身に受ける風に、 子供ながら快感を得ていたのかも知れない。

初めて運転したのは中学生の時だ。
家にあったスクータをこそこそ乗っていた。
単なる好奇心に過ぎなかったが。

高校になって友達と映画を見に行った。
角川１０周年か何かで、「キャバレー」という名の映画だったが、
どちらかと言うと、僕はその同時上映で放映していた、
オートバイが出てくる方が心の片隅に強く焼き付いていた。

１９歳の頃いろんなオートバイに試乗した。
友達が暴走族用にオートバイを組んでいたため、そんなやつも僕は乗っていた。
２１歳の時初めて免許をとった。それまでは無免許だった。
中型→大型と取得し、古いナナハンを乗り回していた。

そんな頃、僕の心の片隅に引っかかっているものがあった。
高校の頃見た映画だった。
タイトルすら覚えていなかったが､レンタルビデオ店で見つけ出し、
ダビングして何度も何度も擦り切れる程、台詞を暗記する程いつも見ていた。

「彼のオートバイ、彼女の島」
僕はこの映画の主人公に憧れ、また、そのオートバイに惚れ込み、今日にいたっている。
彼と同じオートバイ
彼と同じヘルメット
彼と同じ皮ジャン
彼と同じブーツ
彼と同じサイドバック
彼と同じ風をさがして
もう、僕の生活スタイルは主人公「コウ」そのものだった。