僕とオートバイ ２
僕とカワサキが向き合う時
ツーリングの途中、僕の視界にはいろんな景色が舞い込んでくる
映える緑に染まる若葉であったり
長い冬へのわずかな間に色づく落葉樹達
とても綺麗だ
いつものツーリングの帰り道
僕は何気にカワサキのメーター・パネルに視線をずらした
いつもならスピードメーターの指針を確認するのだが
僕はメーター・パネルに映る木々の影に目を奪われた
とても小さなスクリーンに流れるように景色が巡ってゆく
僕はあわてて辺りを見渡した
ちょうどなんでもない並木道を僕は走っていたのだ
ツーリングの帰りという事もあってか僕はただひたすら帰路を急いでいたんだ
僕はカワサキを路肩に停め、今走っていた場所を振り返った
地図にガイドされているワインディング・ロードでもなく
ただ街から街への間に続くなんでもない並木道が
とても綺麗に思えた
僕は目的地ばかりに気を取られていた事がとてもはずかしくなった
旅の途中で偶然に通りかかったごく普通の道も
僕とカワサキにとってはツーリング・ロードなんだ
カワサキは僕にそれをそっと教えてくれた
車や人々が往来する中、僕はカワサキに腰かけて一息ついた
僕はそこでカワサキと向き合い距離がぐっと縮まったような気がした
再びカワサキをスタートさせてから
僕はもう一度メーター・パネルを覗いてみた
スモークシールドの中で僕は少し感極まってしまい
今度はぼんやりにじんでうまく見れなかった
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