僕とオートバイ ３
二人のカワサキ
少し曇り空の休日
僕はいつものようにカワサキに跨っていた
高層ビルの建ち並ぶ交通量の激しい道を
ぶれるミラー越しに後ろを見ればもう一台のカワサキ
二人のカワサキの排気音は
心地良いパルスを奏でながら
いつまでも街路にこだましてゆく
初めてカワサキを手に入れてからもう１０年にもなり
全国各地をカワサキで旅したけれど
いっしょに連なって走ったのはこれが初めてだ
同じ事に憧れ 同じ夢を見る
僕と彼がカワサキに憧れる想いはきっと同じだろう
お互い初対面ではあるけれど
事細かく質問しなくとも疎通がはかれたような気がする
何故かずっと昔から知っていたような気がする
不思議と僕の気持を察するかのように
カワサキもいつもより調子よく路面を蹴っていた
遠く離れた場所でも
もう一人のカワサキは存在している
一つの映画がきっかけで僕らはここで出会えたんだ
ずっと昔から探していた物
心の何処かに忘れていた物
その中の一つがやっと見つけられたような気がする
たった一つの映画がきっかけで・・・
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