「The Freewheelin' Bob Dylan」

Blowin' in the Wind / Girl from the North Country / Masters of War / Down the Highway / Bob Dylan's Blues /
A Hard Rain's A-Gonna fall / Don't Think Twice, It's All Right / Bob Dylan's Dream / Oxford Town /
Talkin' World War Ⅲ Blues / Corrina, Corrina / Honey, Just Allow Me One More Chance / I Shall Be Free

1963.5

「風に吹かれて」　Ｄｙｌａｎはこの唄を西４番通りのアパートで書き上げたと云う。
スージーと腕を組みながら歩いているその場所だ。

常日頃僕の周りには様々な疑問符が飛び交っている。
いつも真実を知りたくて没頭したり
いつも早く辿り着きたくて道を急いだりしていたけれど
「そのこたえは、友だちよ、風に舞っている」と唄うこの曲を聴いた時
僕はふと立ち止りもっとゆっくり辺りを見渡す事が出来るような気がした。
Ｄｙｌａｎはこの唄で僕たちのジレンマを説いてくれている訳でもないけれど
ほんの少しだけ手の届かなかったものが身近に感じられたようだった。

僕はよく眠りに着く前に「北国の少女」を聴いたものだ。
メロディは何かの曲をそのまま使用していると聞いたことがあるけれど
「もしきみが雪が吹きつける吹雪を行くなら
川はこおり夏のはてたときに
彼女があたたかいコートを着てるかどうか
うなる風にさらされていないかどうかたしかめてくれ」
と唄う歌詞はＤｙｌａｎのオリジナルらしい。
こんな素敵な唄を聴きながら色褪せた想い出を描き僕は眠りたい。

人はそれぞれ主張すべきものがあるはずだ
警告しておいた事が、計画にならないように。
だだ少しだけ勇気がなかったり、あらゆる弊害があったり
うまく行動にあらわせないでいてしまう。
僕はＤｙｌａｎのプロテスト・ソングがとても好きだ。
「はげしい雨が降る」もその内の一つ。
皮肉めいた調子で僕たちの心からの主張を代弁してくれるかのようだ。
見えない力や恐怖にはたった数分間の唄に救われる事もある。
たとえどちらかが戦いに勝利したとしても悲しみはきっと消えないだろう。

Ｄｙｌａｎは唄っている
「だけど　くよくよしてもはじまらない、これでいいんだ」と。
「Donn't Think Twice!」
そうさ、くよくよしたってしょうがない。
先の事を心配したってしょうがない。
過ぎた事を後悔したってしょうがない。
僕は１０代の頃この曲に出会い
自分を苦しめていた退屈なガラクタ達にさよならをした。
あの頃そう思えなかったら今の僕はなかったかもしれない。

ブルース・シンガーからプロテスト・フォーク・シンガーに・・・。
僕はこのアルバムから
一つの見解では何も判断できない事を教わった。
誰が正しいという事なんてないことを・・・。

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