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『 Another Side からの手紙　＃１２ 』

　 　ニュー・イヤーズ・デイ、僕はヤヌスのように、古い年と新しい年の両方に面していた。
（実際その意から、ヤヌス（Janus）より１月（January）の名がついたらしい）

　僕は昔から、あまり月日や年の節目というものに、こだわりは持たないほうだが、
今朝、波高く揺れるカー・フェリーから下船し、車を走らせていると、
カー・ラジオからとても懐かしい曲が流れてきた。

　「鋼鉄のようなＷＩＳＤＯＭ
　　輝きつづけるＦＲＥＥＤＯＭ
　　願いを込めて
　　ここに分けあいたい
　　Let's　stay　together
　　Let's　stay　together　」

　１９８５年、新しい年が訪れた頃、僕はＴＶのコマーシャルでこのテーマ曲を聴いていた。
１０代だった僕は、とても興奮しながら、その唄を大きく心の中で口ずさんでいた。
しばらくして、僕は街のレコード店で、一枚の１２インチ・シングルを手に入れていた。
大きなジャケットの裏面には、「1984　War　Map」というタイトルで、
世界地図に、紛争の続く地域を赤く塗りつぶし記されていた。
この曲が、彼にとって初のベスト・テン・シングルであったことや、
印税は日本赤十字社を通じて、アフリカ難民救済の資金として寄付されたことなどは、
ずいぶん後から僕の耳に入ってきたことだ。

　アルバムのジャケットには小さくこう書かれていた。

　「たとえ近くにいる人にとがめられても
　　ボリュームはＭＡＸにして聴こう
　　そしておごそかなYoung　Bloodをたぎらせて
　　この曲を一緒に唄おう！」

　何故だかこの曲を久しぶりに聴いてみて、僕は新しい年がやって来たことを実感していた。
カー・フェリーを降りたその瞬間から、何か一歩前に進めたような気がしていた。
岬に続くシーサイド・ライン、吹きつける港からの追い風に後押しされながら、
僕はラジオのボリュームを大きく右に回し、去年までの僕にサ・ヨ・ナ・ラをしていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜January 2006　　Ｓ★ＭＯＴＯ〜