Ｖｏｌ．４
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『 土 』
長い日照りが続いたなら
ずっとずっと我慢しよう
恵みの雨を待とう
タンポポの種が舞い降りてくる
その時のために
誰かに掘り起こされたなら
少し形を変えてみよう
一陣の風を待とう
タンポポの種が舞い降りてくる
その時のために
もし踏み潰されてしまったなら
根っこだけは残しておこう
新しい季節が訪れれば
タンポポの種が舞い降りてくる
その時のために
芽が出たのなら
刈り取らずに育んでみよう
そっとそっとしておこう
やがてタンポポの種が飛び立つ
その時までは
『 退屈な休日 』
特に予定もなかった休日
どんな風に過ごそう
窓の外は曇り空
出かける気力もないまま
読みかけの小説を横に
僕はそっと眠りにつく
今朝見た悲しい夢のせいか
今までの過ちを懺悔したい
償いの季節なのか
独りで居る事が少しだけハッピー
ビーベリーの香りに誘われて
僕はそっと目を覚ます
チューニングの合わないギター
未完成のジグソーパズル
そんな気分じゃない
とりあえず
アルバムの整理に時間をあてようか
テレビは相変わらず冷たいニュースばかり
街では今年もビング・クロスビーの
曲がかかっているのだろうか
長い冬の訪れを僕はきっと
退屈な休日の始まりで感じ取る
『 きっと変わらない 』
誰もがみんな
少しずつ大人になってゆく
楽しかった想い出も
やがて色褪せてゆく
でもブルーな月は
今夜も変わらない
時が経つにつれて
世界は形を変えてゆく
無謀な戦いもまた
繰り返されてゆく
でも夜明けのやさしさは
明日も変わらない
自由主義者たちは
パレードを続けてゆく
偽善者たちはいつか
ここを離れてゆく
でも素敵なラブソングは
いつも変わらない
誰もがみんな
少しずつ大人になってゆく
共に過ごした仲間も
そっと散らばってゆく
でも僕達の夢は
きっと変わらない
ただ君の夢も
きっと変わらない
『 1969-2000 』
幼い頃 君は
泣いていた
何かに怯えていたのではなく
陽が暮れてしまうのが
淋しかったから
小さな頃 君は
空ばかり見ていた
毎日姿を変えてゆく白い雲
寄り道ばかりしていたので
よくバスに乗り遅れた
子供の頃 君は
一人で絵を描いていた
あか・あお・き・みどり
うまく描けたときは
とても嬉しそうだった
１０代の頃 君は
いつも音楽を聴いていた
時には唄ってみたりもした
憧れの人に
素敵なメロディを教わった
ある時 君は
父親をなくした
他界してはいないのに
父親をなくした
ペイズリーのマフラーが残されていた
１９８８ 君は
とてもクレイジーだった
何もかも全てを壊してしまいたい
ドラッグには溺れていない
けれどとてもクレイジーだった
He's so delicate !
１９８９ 君は
１８０度生まれ変わった
自ら風向きを変え
退屈なガラクタ達は捨ててしまった
けれど好奇心だけは残しておいた
Keep Question！
若い頃 君は
旅に出ていた
封印されていたもの達が
出来るだけ遠くへと
いつも願っていた
社会に出て 君は
退屈していた
偽善者達に囲まれて
ヘドが出そうになりながら
自由を見失っていた
Be positive !
大人になって 君は
大切なものを
亡くしてしまった
後戻りは出来ないけれど
気付くのが少し遅かった
２０００ 君は
最新マシンを手に入れた
君は君の好きなように
表現してゆけばいい
もう街路に立ちどまることなく
これら全ては僕によく似た隣人のちっぽけなストーリーなんだ
『 真夜中にこんがらがって 』
真夜中にこんがらがって
金切り声の換気扇
真夜中にこんがらがって
共振する冷蔵庫
真夜中にこんがらがって
ちらつき始めた蛍光灯
真夜中にこんがらがって
落下する水滴
真夜中にこんがらがって
吹き込むすきま風
真夜中にこんがらがって
救急車のサイレン
真夜中にこんがらがって
濡れた路面を走る車
真夜中にこんがらがって
くだらないコマーシャル
真夜中にこんがらがって
終わらないナイト・シアター
真夜中にこんがらがって
遠くで吠えてる犬
真夜中にこんがらがって
明日着るシャツを探して
真夜中にこんがらがって
今度の休みを数えて
真夜中にこんがらがって
全てに耳傾けたとき
眠れぬ夜が続いてゆく