Ｖｏｌ．７
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『 ｓｎｏｗ ＆ ｄｒｅａｍ 』
白い雪
静かなる森深く
君はそっと足を踏み入れる
青い夢
遥か遠くに想いを寄せて
僕は今夜毛布に包まる
「君は真っ白な地図を眺めてる」
白い雪
聖なる丘に舞い降り
君は何色に染まるのだろう
青い夢
どこかの風に身をまかせ
僕は花束をそっと集める
「君の夢と僕の夢を交換しないかい？」
白い雪
平和な街から戦地まで
君はやさしく訪れる
青い夢
澄んだ水辺にゆれながら
僕はきっと得意げに走る
「うれしい知らせが僕は待ち遠しい」
『 僕が眠るとき 』
僕は今夜
楽しい想い出を抱いて眠った
風にゆれてるタンポポ
森から飛び出した小鹿
その小さな種も
大地に大きく根をはって
やがて夏草と共に開花する
僕は君の夢が好きさ
夢なら覚めないでおくれ
僕は今夜
大きなアルバムを枕に眠った
島で出会った野良犬
群れからはぐれた子牛
いつかの青い風は
車の窓から舞い込んで
僕らをそっと包んでゆく
僕は君の笑顔が好きさ
夢なら覚めないでおくれ
僕は今夜
古い地図に包まって眠った
乾いた落ち葉の散歩道
青い湖に眠る流木
吹雪が道をふさいでも
長い坂を転がり落ちても
僕らはきっと辿り着けるだろう
僕は君の夢が好きさ
夢ならどうか覚めないでおくれ
『 心の灯り 』
夢を見たよ
赤ん坊の僕は大きな腕に包まれて
部屋にはジャズが聴こえていたよ
幼い僕は手をつないでいたよ
親指が無かったけれど
とても温かかったよ
オートバイの後ろに乗ったよ
大きな背中にしがみつき
油と汗の匂いがしていたよ
彗星を見に行ったよ
トラックの荷台から夜空を見上げ
いつか僕は眠ってしまったよ
暗い道を歩くんだね
長い長い旅に出るんだね
灯りはずっと絶やさずに
僕の心に灯しておくよ
心配しなくても
僕は泣かないよ
目に涙がにじんでいたのは
ちょっとゴミが入っただけさ
暗い河を渡ってゆくんだね
後ろはもう振り向けないんだね
灯りはずっと絶やさずに
僕の心に灯しておくよ
僕が大きく手を振っても
もう届かないんだね
僕が大声で叫んでも
もう聴こえないんだね
夢を見ていたよ
灯りはずっと絶やさずに
いつも僕の心に灯しておくよ
『 約束の唄 』
いつか僕が命尽きたなら
あの森に届けてくれないか
大きなブナの木の下に
そっと埋めてくれないか
サリンジャーの小説を枕に
いつも僕は眠り続けるから
長い月日が経ったなら
ふと思い出してみてくれないか
大きなブナの木の下に
小さな若葉を見つけてくれないか
生い茂る木々のすきまから
僕は君を探し続けてるから
いつか君が歳をとったなら
あの森に来てくれないか
大きなブナの木の下に
そっと水を捧げてくれないか
枯れた落ち葉に埋れてしまっても
僕は君を待っているから
いつか僕が命尽きたなら
あの森に届けてくれないか
大きなブナの木の下に
そっと埋めてくれないか
また再び微笑む時のために
僕はずっと祈り続けてるから
『 しばらくこのまま 』
焦げた太陽が沈んでゆく
山は紅く燃えている
家路をたどる野鳥たちの群れ
今すぐそこにたどり着きたくて
秒刻みの毎日に急ぎすぎていた
しばらくこのまま
茜色の空に寄り添っていよう
月灯りが照らしている
夜道はずっと続いている
川面に映る蛍の光
ずっと夢をあきらめられなくて
いつもまわり道ばかり歩いていた
しばらくこのまま
静かな夜に包まれていよう
銀色の湖がゆれている
どこからか小船がやって来る
湖畔を漂うゆき場のない風
描いていた地図のかけらを探して
西から東へと駆けずりまわっていた
しばらくこのまま
穏やかな流れに身をまかせていよう
やがて夜明けがやって来て
この街にも時の鐘が鳴り響く
朝霧に目を覚ます若葉たち
昨日より今日に想いを託して
冷たい夜にサヨナラしていた
しばらくこのまま
朝陽のあたる丘まで歩いていよう